実家の築四十年になる和室。年月を経て薄暗く、ポロポロと崩れ始めた砂壁をどうにかしたいと思い、思い切って漆喰塗りのDIYに挑戦しました。漆喰は古くから日本の住まいに使われてきた自然素材ですが、その優れた調湿効果や消臭性能は、現代の住宅においても非常に価値のあるものです。作業の第一歩は、古い砂壁の表面を固めるシーラー処理から始まりました。砂壁の上にそのまま漆喰を塗ってしまうと、水分を吸いすぎて剥がれ落ちる原因となるため、この下地作りこそが最も重要な工程です。シーラーが乾くのを待つ間、漆喰を練り上げる作業に入りましたが、最近ではあらかじめ練られた状態で届く便利な製品もあり、今回はそれを使用することで大幅に手間を省くことができました。コテを使い、壁の隅から薄く伸ばしていく感覚は、まるでケーキにクリームを塗るような繊細な作業でした。最初は均一に塗るのが難しく、コテの跡が残ってしまいましたが、途中からはあえてその跡を活かす「ラフ仕上げ」に方針を転換しました。規則正しいパターンではなく、自分の手の動きがそのまま模様となる仕上がりは、職人のそれとは違う温かみを感じさせてくれます。特に窓の周りや入り隅の処理は難儀しましたが、指先を使って整えるなど、DIYならではの臨機応変な対応で乗り切りました。すべての壁を塗り終え、数日間かけて漆喰が真っ白に乾燥していく過程は、まるで部屋が浄化されていくような清々しさがありました。完成した和室は、砂壁時代の湿気臭さが消え、漆喰の光の反射によって驚くほど明るく、清浄な空気感に満ちています。和の趣を残しながらも、どこか北欧の住宅のようなモダンさも感じさせる空間に生まれ変わり、古い家が持つ魅力を再発見することができました。漆喰を塗るという行為は、単なる表面の化粧ではなく、壁そのものを呼吸させる再生の儀式であったと感じています。手間はかかりましたが、その分、壁の一塗りに込めた思いが空間に宿り、これからの数十年を共に過ごすための確かな基盤が出来上がりました。自然素材と向き合うDIYリフォームは、住まいの命を吹き返す贅沢な体験となりました。
築古住宅の砂壁を漆喰で塗り替えてモダンな和室を再生させた記録