網戸の取り付け作業と聞くと、多くの人が網戸本体をレールにはめ込む場面を想像するかもしれません。しかし、その作業を成功させるための最も重要な工程は、実はもっと前の段階にあります。それは、窓のサイズを正確に測定する「採寸」です。この採寸という地味な作業こそが、網戸取り付けの成否の九割を決定づけると言っても過言ではありません。なぜなら、どんなに慎重に取り付け作業を行っても、そもそも網戸のサイズが窓に合っていなければ、全てが無駄になってしまうからです。サイズが大きすぎればレールにはまらず、小さすぎれば隙間ができて虫が侵入してしまいます。では、どのように測ればよいのでしょうか。まず、引き違い窓の場合、測定すべきは高さと幅の二箇所です。高さは、網戸がはまるレールの内側の寸法を測ります。このとき、必ず上側のレールの最も深い部分から、下側のレールの最も高い部分までの垂直距離を測定してください。窓枠は長年の使用で歪んでいる可能性もあるため、念のため左右二箇所、中央一箇所の計三箇所を測り、最も短い数値を採用するとより確実です。次に幅ですが、これは窓を片側に完全に寄せた状態で、ガラス戸の端から窓枠の端までの長さを測ります。この採寸には、ストッパー付きの金属製メジャーを使用するのが最適です。測定の際にメジャーが曲がったり、たるんだりしないよう、細心の注意を払いましょう。数ミリの違いが、取り付けの可否を左右します。ホームセンターなどで既製品の網戸を購入する場合、この測定した寸法に合う製品を選びます。もし、ぴったりのサイズが見つからない場合や、より完璧なフィット感を求めるのであれば、測定したサイズを基にオーダーメイドで網戸を注文するという方法もあります。取り付け作業そのものは比較的単純ですが、その前段階である採寸にこそ、最大限の集中力と丁寧さが求められます。網戸の取り付けは、メジャーを手にした瞬間から始まっているのです。この最初のステップを確実に行うことが、快適な結果へと繋がる唯一の道です。
網戸取り付けは正しい採寸から始まっている