高齢の親と一緒に市営住宅で暮らすことになった際、最初に直面した問題は、玄関や浴室に手すりがなく、段差も多いために転倒のリスクが高いことでした。市営住宅でリフォームをしていいのか、特に身体的な理由がある場合にどのような手続きが必要なのかを調べたところ、福祉的な目的の改修であれば、比較的前向きに許可が下りることが分かりました。まず私たちが行ったのは、担当のケアマネジャーへの相談です。介護保険を利用して手すりを設置する場合、住宅改修費の支給対象となる可能性があり、自治体への模様替え申請と並行して手続きを進める必要があるからです。市役所の住宅課に相談したところ、専用の申請用紙に加えて、どこにどのような手すりを取り付けるのかを示す図面と、改修前の写真の提出を求められました。また、施工する業者が指定の資格を持っているかどうかもチェックされました。市営住宅の壁はコンクリートや特殊な合板であることが多く、素人が無理に取り付けると強度が不足してかえって危険なため、プロの手による工事が条件となっているのです。申請から許可が下りるまでには二週間ほどかかりましたが、正式な許可書が届いたことで、安心して工事を進めることができました。驚いたのは、こうしたバリアフリー改修については、退去時の原状回復義務が免除されるケースがあるという点です。もちろん、自治体によって判断は異なりますが、私たちが住む地域では、手すりをそのまま残していくことで次に入居する高齢者のためにもなるという理由で、撤去の必要はないと言われ、将来の負担が減ったことに安堵しました。ただし、便器の交換や床の段差解消といった大規模な工事については、依然として原状回復が求められる場合が多く、どこまでが免除の対象となるのかを細かく確認しておくことが重要です。市営住宅でのリフォームは、個人の好みを反映させることは難しいですが、安全や健康を守るための改修であれば、公的な支援を受けながら実現できる道が開かれています。親が安心して家の中を移動できるようになった姿を見て、たとえ賃貸であっても、必要な手続きを踏めば住みやすく変えていくことができるのだと実感しました。
高齢者のために市営住宅を手すり設置でバリアフリー化する手順